この記事の結論

NemoClawの基盤OpenShellが9月25日に0.1.0、翌日に0.1.1を公開。0.0.xからの上書き更新はできず、サンドボックスの作り直しなど移行作業が必要です。

概要:OpenShellが初のマイナーバージョン0.1系へ

NVIDIAは、AIエージェントを隔離環境で安全に動かすためのオープンソースのランタイム「OpenShell」のv0.1.0を、2026年9月25日(UTC、日本時間26日早朝)にGitHubで公開しました。約6時間後の9月26日(UTC)には修正版のv0.1.1も出ています。これまでの0.0.x系は8月28日公開の0.0.116が最後で、およそ1か月ぶりのリリースです。

v0.1.0のリリースノートには約300件の変更が並び、READMEからアルファ版を示すバッジを外す変更も含まれています。一方、同時に公開された移行ガイドは冒頭で「ローカルの0.0.xのインストールはその場で更新できない」と警告しています。古いランタイムを片付けて既存パッケージをアンインストールしてから0.1.0を入れる必要があります。

OpenShellはNemoClawの土台になっているランタイムです。日本でNemoClawを試している企業や個人にとっては、「OpenShellだけ先に最新にする」と環境が壊れるおそれがある点が、今回いちばん大事な情報です(後述)。

主な互換性のない変更(破壊的変更)

移行ガイドが運用者向けに挙げている主な項目は次のとおりです。

  • ゲートウェイ、ドライバー、スーパーバイザー、CLI、SDKはすべて同じリリースに揃えて更新する。0.0.xと0.1.0の混在は通信形式が合わず動かない。
  • 0.0.xで作ったサンドボックスはすべて削除し、更新後に作り直す。
  • ゲートウェイに組み込みのプロバイダープロファイルが無くなったため、更新前にエクスポートし、更新後にインポートする。claudeやghといった別名はclaude-code、githubに置き換える。
  • 設定ファイルgateway.tomlをスキーマバージョン2に移行し、openshell-gateway config preflightで検証してから再起動する。
  • 既定のワークロードイメージが最小構成のnvcr.io/nvidia/base/ubuntu:24.04になり、エージェントCLIもポリシーも含まない。フォールバックのポリシーはネットワークを拒否する。

利用者向けには、openshell sandbox create --fromがDockerfileやディレクトリからのビルドを行わなくなり、事前にビルドしたイメージの指定が必要になった点、openshell inferenceコマンドとinference.localエンドポイントが廃止され、サンドボックスごとにプロバイダーを付ける方式になった点が大きな変更です。ポリシーの記述でも、未知のフィールドを無視せずエラーにするようになりました。

0.1.0で加わった主な機能と今後のリリース方針

リリースノートから、情シス担当者に関係しそうな追加機能を挙げると、サンドボックスのテンプレート機能、一覧コマンドの構造化出力、Kubernetes環境での社内プロキシ用CA証明書への対応、Kubernetesのゲートウェイ冗長化(HA)での再配置、Windows向けの実行基盤(MXC)でのETWからOCSF形式への監査ログ出力、ポリシーの境界を単体で検査する仕組み(policy prover)などがあります。v0.1.1ではゲートウェイのWebSocketトンネルを明示的に有効化する方式に変え、snap版ゲートウェイで相互TLS(mTLS)を必須にしました。

リポジトリ内のRFC 0014(状態は「review」、つまり検討中の提案)では、0.1.0を互換性の約束の起点とし、安定版を毎週火曜日に出す、パッチ版では安定インターフェースを意図的に壊さない、破壊的変更はマイナー版(0.2.0など)で行う、最新とその一つ前のマイナー系列を保守する、といった方針が示されています。確定した方針ではない点に注意してください。

NemoClaw利用者への影響:OpenShellを単独で上げない

当サイトでNemoClawのリポジトリを確認したところ、v0.0.129のタグ時点と9月27日時点のmainブランチのいずれでも、OpenShellのインストールスクリプトが最小・最大バージョンをともに0.0.116に固定していました。オンボーディング用のコードでも、フォールバックのサポート版は0.0.116と定義されています。つまり、現時点のNemoClawはOpenShell 0.1.0に対応していません。

このため、NemoClawでOpenShellを使っている環境では、OpenShellのインストーラーを直接実行して0.1.0に上げるのは避け、NemoClaw側が0.1系への対応を発表するまで待つのが安全です。0.1.0はその場で更新できず、サンドボックスの作り直しも必要なため、誤って更新すると復旧に手間がかかります。

OpenShellを単体で使っている開発チームは、移行ガイドに従い、プロバイダープロファイルのエクスポート、データベースのバックアップ、gateway.tomlの移行を済ませてから切り替えてください。Kubernetesで運用している場合は、Helmチャートがゲートウェイ用とワークスペース用に分かれた点も確認が必要です。

日本の利用者がやること

  1. NemoClaw経由で使っている場合:OpenShellを単独で更新しない。NemoClawのchangelogで0.1系対応が告知されるのを待つ。
  2. OpenShellを単体で使っている場合:移行ガイドを最後まで読み、検証環境で入れ直しの手順を一度通してから本番に適用する。
  3. 自社でAPIクライアントやSDKを使っている場合:リソースの参照がサンドボックスIDから名前とワークスペースの組に変わった点、時刻型がprotobufのTimestampとDurationに変わった点、ページングがトークン方式になった点など、クライアント側の改修が必要な項目を洗い出す。

上記のNemoClawのバージョン固定は2026年9月27日時点の確認結果です。NemoClawは数日おきに更新されているため、作業前に最新の状態を確認してください。

出典