この記事の結論

NVIDIA NemoClawは9月15〜17日にv0.0.125〜127を公開。サンドボックス復旧をOpenShell経由に統一し、認証切れ時の再構築停止など運用事故を防ぐ変更です。

概要:3日間で3つのリリース、運用の安全性が主題

NVIDIAのオープンソースプロジェクト「NemoClaw」は、2026年9月15日にv0.0.125、16日にv0.0.126、17日にv0.0.127のタグを作成しました(いずれもGitHubのタグ日時、UTC)。リリース概要によると、含まれるコミット数はそれぞれ28件、40件、46件です。

3本を通じて目立つのは、サンドボックス(隔離実行環境)の起動・停止・復旧・削除まわりの修正です。v0.0.126のリリース概要は、これらの操作を基盤ランタイム「OpenShell」の型付きの管理機能(typed lifecycle controls)へ移したと説明しています。新機能の追加よりも、止まったものを正しく戻す、消してはいけないものを消さない、といった運用上の事故を防ぐ変更が中心になっています。

日本の情シス担当者や開発者にとっては、社内検証機でNemoClawを常時動かしている場合に「再構築したらエージェントが戻らない」「ポリシー更新が途中で止まる」といった不具合に当たる確率が下がる更新です。一方で、挙動が変わる箇所もあるため、下記の変更点を確認してから更新することをおすすめします。

v0.0.125:ゲートウェイの取り違え防止とサンドボックスのファイル転送

v0.0.125の主題は、OpenShellゲートウェイの権限(gateway authority)とオンボーディングの完了処理の強化です。エージェント実装の一つ「Hermes」の接続用アダプターnemoclaw-acpは、記録済みのOpenShellゲートウェイだけを選び、そのゲートウェイが見つからない・応答しない・別のゲートウェイがつながっている場合に限って起動できるようになりました。ゲートウェイの識別が食い違う・あいまい、認証エラー、タイムアウトなどの場合は、ゲートウェイの起動やセッション作成の前に復旧を止めます。旧版のOpenShellからの更新時の復旧でも、記録されたゲートウェイ、サンドボックスの識別情報、ワークスペース、ダイジェストで検証済みの更新前ポリシーが保たれるようになりました。

また、オンボーディング(初期設定)でプロセス確認や秘密情報の境界チェックが拒否された場合、これまでのように「準備完了」と表示せず、再開可能な未完了状態として残すよう変わりました。サンドボックスへのアップロードとダウンロードは、記録済みのOpenShellゲートウェイ上の型付き転送を待ってから完了するようになり、終了時の表示や終了コードは従来どおりです。

さらに、管理対象のOpenClawは既定でサンドボックス内のループバック接続を使うようになり、プライベートなネットワークインターフェースの探索や安全でないプライベートWebSocketに依存しなくなりました。ネイティブのPodman(コンテナ実行環境)では、標準的なrootlessソケット配置を受け入れつつ、他ユーザーから到達できる危険なソケットは引き続きブロックします。

v0.0.126:復旧コマンドの修正と、再構築前の認証情報チェック

v0.0.126では、nemoclaw <名前> recoverがDockerドライバーの停止中サンドボックスをOpenShell経由で起動し、状態がReadyに戻るよう修正されました。以前はコンテナが動いているのに状態がStoppedのまま残るケースがありました。

運用面で重要なのはrebuild(再構築)の変更です。記録されたリモート推論の認証情報が期限切れ・欠落・検証不能な場合、バックアップやサンドボックス削除に進む前に処理を止めます。削除の直前にも再確認し、--forceを付けてもこの確認は省略できません。APIキーの期限切れに気付かずに再構築し、エージェントが動かない状態になる事故を防ぐ変更です。

ほかに、OpenShellのポリシー書き込みの待ち時間が65秒に延長されました(60秒の適用待ちと処理の完了を含む)。読み取り専用の操作は15秒のままです。これにより、2つ目の管理対象MCPサーバーを追加するような大きめのポリシー更新が、結果の報告前に打ち切られる問題が解消されます。nemoclaw listの出力にもnemoclaw statusと同じ秘匿処理(redaction)が適用されました。

v0.0.127:ゲートウェイやプラグインの管理をOpenClaw・Hermes側へ

v0.0.127では役割分担が見直されました。オンボーディング後は、OpenClawとHermesが自分のゲートウェイプロセス、プラグイン、パッケージ、子プロセス、フック、バックグラウンド処理を管理します。NemoClawは、対象のOpenShellサンドボックスの選択、認証情報の受け渡し、ヘルスチェック、ホスト側ポート転送の修復、再構築や復元時のエージェント状態の保全を引き続き担当します。

停止したサンドボックスを起動する際は、ゲートウェイが実際に応答可能になるまで待ってからヘルスチェックやポート転送の復元を行うようになりました。削除・再構築・スナップショット復元では、OpenShell側の削除完了を一定時間待ち、状態があいまいな場合はローカルの復旧情報を残します。

設定面では、nemoclaw config exportがHTTPとHTTPSの推論エンドポイントを受け付け、選択中のOllamaモデルをSHA-256ダイジェスト付きで出力するようになりました。共有OpenShellゲートウェイ上でinference setを使うと、プロバイダーだけ・モデルだけの変更ができ、影響を受けるサンドボックスが警告表示されます。DOCKER_CONTEXTは運用者が選んだ接続先として扱われ、別のローカルDockerへ黙って切り替わらなくなりました。

日本の利用者がやること

社内でNemoClawを試している場合、次の3点を確認すると更新後のトラブルを減らせます。

  1. 再構築(rebuild)をスクリプトで自動実行している場合は、推論プロバイダーのAPIキーが有効かを先に確認してください。v0.0.126以降は認証情報が無効だと再構築が止まり、--forceでも回避できません。
  2. 1台のOpenShellゲートウェイを複数のサンドボックスで共有している場合、v0.0.127以降のinference setは他のサンドボックスにも影響する旨の警告を出します。部署ごとにモデルを分けたいときは、警告の対象一覧を必ず確認してください。
  3. Dockerのコンテキストを切り替えて使っている開発機では、DOCKER_CONTEXTの値がそのまま使われます。意図しない接続先を指していないか、更新前に確認しておくと安心です。

なお、これらはGitHub上のリリース概要(release brief)とchangelogに基づく内容で、当サイトで実機検証した結果ではありません。本番に近い環境へ入れる前に、検証用の環境で一度動作を確かめてください。

出典