NemoClaw対応ハードウェア概要

NemoClawはNVIDIA製GPUを搭載するシステムに最適化されているものの、NVIDIA GPUのみに限定されているわけではなく、他プラットフォームでも動作します。ただし、Nemotronモデルの推論性能を最大限に引き出すには、NVIDIA製GPUの搭載が事実上の前提となります。

対応ハードウェアは大きく4つのカテゴリに分類されます。

カテゴリ代表製品主なユーザー推論プロファイル
DGX StationDGX Station GB300研究機関・大企業クラウド / ローカルNIM
DGX SparkDGX Spark(GB10搭載)開発者・スタートアップローカルNIM / vLLM
RTX PRORTX PRO 6000 Blackwellクリエイター・エンジニアローカルNIM / vLLM
GeForce RTXRTX 4090 / RTX 5090一般ユーザー・個人開発者vLLM(Nano 30B)

NemoClawの推論品質はVRAM容量に大きく依存します。大規模モデル(Nemotron 3 Super 120B)を完全にローカル実行するにはDGX Stationクラスのハードウェアが必要です。

DGX Station / DGX Spark

NVIDIAのDGXシリーズはデータセンター品質のAI計算能力をワークステーション形状に収めたフラッグシップ製品群です。NemoClawの全推論プロファイルを最も安定して稼働させることができます。

DGX Station(GB300 GPU搭載)

DGX Stationは2026年現在、GB300 GPUを搭載し、合計170GB以上のVRAMを備えます。これはNemotron 3 Super 120Bモデルをフル精度でローカル実行するために必要な容量を単体で満たします。

Dellとの連携により、GB300 Desktop(DGX Stationベース)にはNemoClaw + OpenShellがプリインストールされた状態で出荷されます。セットアップ時間を大幅に短縮できる点が企業導入において高く評価されています。

項目スペック
搭載GPUNVIDIA GB300(Blackwellアーキテクチャ)
VRAM合計170GB以上
対応モデルNemotron 3 Super 120B(フル精度)
プリインストールNemoClaw + OpenShell(Dell GB300 Desktop)
主な用途本番環境エンタープライズ推論、大規模マルチエージェント

DGX Spark(GB10 GPU搭載)

DGX SparkはGB10 GPUを搭載したコンパクトなDGX製品です。DGX Stationと比べてVRAMは少ないものの、デスクトップに置ける小型フォームファクターで開発者・スタートアップ・研究者向けの製品ポジションです。

ローカルNIMプロファイルおよびvLLMプロファイル(Nemotron 3 Nano 30B)を安定稼働させるのに十分な性能を持ちます。クラウド推論プロファイルと組み合わせて大規模タスクをオフロードする運用も可能です。

項目スペック
搭載GPUNVIDIA GB10(Blackwellアーキテクチャ)
主な対象開発者・研究者・スタートアップ
推奨プロファイルローカルNIM / vLLM(Nano 30B)
フォームファクターデスクトップ小型筐体

RTX PRO ワークステーション

RTX PROシリーズはNVIDIAのプロフェッショナル向けGPUラインです。ECC(エラー訂正コード)メモリや拡張サポート期間など、業務用途に求められる信頼性を備えています。

RTX PRO 6000 Blackwell / Max-Q

RTX PRO 6000 Blackwellはデスクトップ向けのフラッグシップで、最大4,000 TOPSのAI演算性能と96GB GPU VRAMを搭載します。Max-Qバリアントはノートブックワークステーション向けに電力効率を最適化したモデルです。

項目RTX PRO 6000 BlackwellRTX PRO 6000 Max-Q
AI演算性能最大4,000 TOPS省電力最適化版
GPU VRAM96GB96GB
フォームファクターデスクトップワークステーションノートブックワークステーション
推奨プロファイルローカルNIM / vLLMローカルNIM / vLLM
用途エンジニア・クリエイター・中規模企業現場持ち込み・モバイル運用

RTX PRO 6000の96GB VRAMはNemotron 3 Super 120Bを量子化(INT8/INT4)した形式で動作させるのに十分な容量です。フル精度が必要な場合はDGX Stationが必要です。

GeForce RTX(一般ユーザー向け)

GeForce RTXシリーズはコンシューマー向けGPUですが、NemoClawのvLLMプロファイル(Nemotron 3 Nano 30B)を動作させることができます。個人開発者やプログラマーが自宅環境でNemoClawを試す場合の入門選択肢です。

VRAM容量が24GBまでの製品が多いため、動作させられるモデルサイズに制約があります。Nemotron 3 Nano 30Bを量子化して実行するのが現実的な使い方です。

製品VRAMNemoClaw動作可否推奨モデル
RTX 509032GB動作可Nemotron 3 Nano 30B(量子化)
RTX 409024GB動作可Nemotron 3 Nano 30B(量子化)
RTX 408016GB制限あり小規模モデルのみ
RTX 4070以下12GB以下非推奨テスト用途のみ

Dell Pro Precision(プリインストールモデル)

NVIDIAとDellのパートナーシップにより、Dell GB300 DesktopはNemoClaw + OpenShellをプリインストールした状態で出荷されます。これはGTC 2026で発表された最初のハードウェアパートナーシップです。

プリインストールモデルの主なメリットは以下の通りです。

  • NVIDIAドライバ・CUDAライブラリの動作検証済み構成
  • OpenShellのインストール・初期設定が完了した状態で納品
  • Dellの企業向けサポート(ProSupport)が利用可能
  • NVIDIAとDellによる共同トラブルシューティング窓口

自社でGPUサーバーを調達・セットアップする手間を省きたい企業や、IT部門リソースが限られている組織にとってプリインストールモデルは有力な選択肢です。

ハードウェア選定のポイント

NemoClaw導入に向けたハードウェア選定では、以下の3軸で整理するとスムーズに意思決定できます。

1. 使用する推論プロファイルを先に決める

クラウドホスト型プロファイルのみを使用するなら、ローカルGPUの性能要件は大幅に緩和されます。逆に完全オンプレミス(ローカルNIM)でNemotron 3 Super 120Bをフル精度実行したい場合はDGX StationのVRAM 170GB+が必要です。

2. データ主権・セキュリティポリシーを確認する

機密データを外部クラウドに送信できない場合はローカルNIMまたはvLLMプロファイルを選択し、それに見合ったVRAM容量を持つGPUが必要です。RTX PRO 6000(96GB)またはDGX Station(170GB+)が候補となります。

3. 予算とスケーラビリティを考慮する

GeForce RTXはコスト効率が高い入門選択肢ですが、本番運用ではRTX PRO以上を検討することを推奨します。Dellプリインストールモデルはセットアップコストを含めたTCO(総所有コスト)で評価すると割安になるケースがあります。

シナリオ推奨ハードウェア
個人開発・試験導入GeForce RTX 4090 / RTX 5090
チーム開発・スタートアップDGX Spark(GB10)
中規模企業・プロ用途RTX PRO 6000 Blackwell
大規模企業・フル精度推論DGX Station(GB300)
導入手間を省きたい企業Dell GB300 Desktop(プリインストール)